2019年11月21日

日本のハワイ島不動産会社(4)

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1970年代後半、最初の日本のハワイ島不動産会社からいち早く独立したかつてハワイアンパラダイスパークを主に扱っていた会社は、今もまだ存在する。
ただその姿はハワイの(オアフ島の)一般不動産会社へとすっかり変わっていて、ホノルルのコンドや戸建てを扱っている。

尚時々、過去の顧客よりハワイ島の土地の売却を相談されると、ハワイ島の不動産会社を通じ、その再販を手伝っている。

しかし、MLSで見かけるそれら売り物件は、明らかに相場価格より高額で掲示されており、おまけに物件写真の数は乏しく貧しく、動画は当然のようにない。
ずっと長い間市場に掲示されっぱなしという有様だ。



ハワイアンショアーズを主に扱っていた会社は、何度も社名を変え、そしてその間本来の代表者は故人となり、それでも遺族や元関係者の手により、現在でも運営されている。

業務内容の多くは、過去の元顧客たちの「管理」。

例えば、「近隣住民から苦情が出ていて、土地内の木々を伐採しなくてはならない」と伝え、現地でなら本来千ドル程度で済むはずの伐採工事にでも、数千ドルあるいは時に桁が一つ違う金額を請求してくる。


大方の元顧客たちは、ハワイ島へ行かずに日本で居ながらにして購入しており、せいぜいが視察旅行と称して購入後ただ一度訪れたきり、もうそれから十年以上歳月は流れている。

情報はない。
気付住所ということで、全ては大本営発表だから、従うよりない。

管理してもらっていたはずなのに、なぜ木々がそれだけ伸びてしまったのだろうと、普段なら思うだろう疑問もその時には気づかない。

そもそもそこはもともと「近隣住民」などない土地だけの周囲だったりもする。


毎年支払う固定資産税は100ドルとかその程度。
「ハワイの不動産はなんて固定資産税が格安なのだろう!」
もちろんそんなことはない。
固定資産税と不動産評価額はリンクしている。
購入した金額が高額だったからといって、本当にそうだったとは限らない。
「実際に買ったのは固定資産税が100ドルほどの不動産であった」、それだけが事実なのだ。

時に「今のうちにお子さんの名義を入れ、相続対策をしておいた方が良い」とアドバイスし、評価額1万ドルほどの土地にあり得ないほどの名義人の数を詰め込む。対策どころか、これだと逆に売却時には余計な手間と出費を産むだけだ。おまけにその名義変更料はべらぼうな金額とくる。


売りたい顧客から「売るための費用」を徴収し、やはり相場とかけ離れた高額な売値で現地市場で売り出す。
もちろんいつまでも売れない。
会社は、売るための費用を徴収しているので、痛くも痒くもない。
でも、売るための費用って、そもそも何?


「溶岩によりもう市場がなくなった」、だからと逆に今の現地相場以下の金額で、会社が直接買い取ろうとしてくることもある。
そして自らが新所有者となり、現地で売却する。


こんな所業、正業とは呼ばないだろう。

しかしなかなか捕まらないし、終わらない。

被害者も現れない。被害者だと気がつかない。

仮に揉めても、その一件だけを和解に持ち込み、その和解金はまた別の元顧客の木々の伐採費用で補填する。


そのうち揉め事の数は増えていく。
そして、再び会社を閉鎖し、やがて新会社をまた起こす。



まだ、あるのだ。

手を変え、品を変え。


今、ハワイアンパラダイスパーク、アイナロア、ハワイアンショアーズ、西のワイコロア、などなど、固定資産税とは違う、分譲地の自治組合費の滞納が問題となっている。

実際何年も自治組合費を延滞のままでいる区画は多い。

もともと支払う義務のことを知らない、知らされていない、そういうケースは多々あるのだろう。

あるいは既に所有者が故人となり、遺族はその後どうしたら良いかわからないまま放置ということも。


評価額の高いワイコロアあたりだと、あっという間に強制執行されてしまう。組合が競売にかけるのだ。

しかし評価額の低いハワイアンショアーズとかアイナロアあたりだと、競売にすらかけられない。経費の方が高くつくからだ。
だからずっと滞納まま、所有者の名前が組合費滞納者、税金滞納者として記録に残り続けることになる。

大好きだったハワイでそんな風に名を残してしまう。



1970年代から、既に半世紀近くが経とうとしている。

でもまだ、過去ではないのだ。


〈終わり〉

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2019年10月15日

日本のハワイ島不動産会社(3)

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アイナロアを主に扱っていた会社が閉鎖となった。
経営者が出奔したのだ。
その後は同社の実務部門を担っていた役員が中心となり規模を縮小し、程なく横浜の一般建築不動産会社と合併すると、その会社の海外事業部として継続した。
元顧客たちの固定資産税や自治組合費の代理支払いを主業務としながら、建築不動産会社顧客の海外関連のコンサルタント業務を行った。

ハワイアンショアーズを主に扱っていた会社は倒産した。
社長は自己破産し、事後は債権者集会に委ねられた。
駆け込みの建築契約や土地売却件数は相当数あったが、しかし債権者への割り当ては雀の涙だった。

米国住宅バブル期に新しく起こった会社らは、リーマンショックと共にあっという間に露と消えていった。
「他所の会社顧客たちを対象とした建築代行」
「ハワイ現地で1万ドルで買った土地を、日本で800万円ではなく、他所の会社より”格安な”400万円で売る」
「日本で5000ドルで買った土地を、ハワイ現地へ3万ドルではなく(バブル崩壊で値下がりの一途なので)1万ドルで売る」
新会社らのビジネスモデル(?)は、結局はどこかのそれの縮尺版でしかなく、あるいは大悪党が小悪党になっただけでしかなく、オリジナリティーのかけらもないまま親亀転けたら子亀もの例えとおりとなった。


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ハワイアンショアーズを主に扱っていた会社が倒産する数年前、同社社長の家族たちは都内で別のハワイ島不動産会社を起こしていた。
そして倒産した会社の土地所有者の管理業務を引き継いだ。
気の毒な顧客たちを放っておくことは忍びないと。


日本のハワイ島不動産会社に共通していたことは、どこの顧客も皆気付住所だったということ。
これによりハワイ郡役所からはもとより、如何わしいダイレクトメールの類まで全ての通知は、気付住所宛に届くことになる。
名目は、英語だから、煩わしいことは全部こちらでやってあげるから、そういう好意的なアフターサービス、親切心として。

しかしこれで大本営発表となる。

そもそも債権者となった元顧客たちとは、建築費を全額支払ったにも関わらず家が建たない、土地を同社への買い戻し中に名義のみ変わりしかし金銭を受け取れずにいる、そういう人たちだけだ。
本来潜在的債権者と言えるはずの全ての顧客たちはここには含まれてはいない。
というより、自身が被害者だということにまだ気がついていない。
大本営が事実を編集してしまっているからだ。


倒産後日本国内のあちこちで訴訟が起こった。
警察へも届けられた。
しかし事は膠着した。
如何せんモノはハワイの不動産ということで、法律は両方の国にまたがり、遅々として進んでいかなかった。


突然、一人の潜在的債権者の手により、ハワイ州で訴訟が起こった。
その後の新会社での対応に疑念を抱き、必死に自身で調べ、やがてハワイ州の弁護士までたどり着いたのだ。

問題の場所があるハワイ島東側ヒロ市の裁判所に訴状が持ち込まれた。
被告となったのは、元会社と新会社のそれぞれの現地法人と役員たちだった。

原告側と被告側の弁護士同士により地元テレビでの公開討論も行われた。
新聞には全て実名入りで掲載された。
小さなビッグアイランドで、大きなニュースとなった。

現地では新会社からの仕事依頼を受けてくれる地元業者がいなくなった。
相当にいかがわしい業者か金に困った業者にしか相手にされなくなった。

そんな渦中、新会社でも実質のドンとして君臨していた元社長が死去した。

程なく、勝利和解の成立となった。

しかし、これで終わりとはならなかった。

新会社は閉鎖した。
が、また別の新会社が、今度は遺族以外の人間を代表役員として再び起こったのだ。

〈続く〉


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2019年10月14日

日本のハワイ島不動産会社(2)

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2000年に入る頃から状況は変わった。

日本のハワイ不動産会社へではなく、直接ハワイ現地のリアルター(不動産業者)とやりとりする人たちが増え出したのだ。

ネットの普及だ。

ハワイ現地の日本人リアルターたちは日本語のウエブサイトを作り、そして次々にブログを更新していた。

ハワイ旅行に合わせてアポイントメントを取り内見をし、ホノルルのコンドミニアムやタイムシェアを購入する、これまでの富裕層以外も巻き込んでの、さながらハワイ不動産第二次ブームが始まった。しかもホノルルの不動産価格はまだまだ相当にお手頃な時代だった。


ハワイアンショアーズを主に扱っていた会社は、それまではオアフ島やマウイ島のコンドミニアムにも手を伸ばしていたが、この頃から完全にハワイ島のみに特化するようになった。
ハワイ島西側のワイコロアヴィレッジ、それからハワイ島東側のハワイアンエーカーズとの三本立てが基本構成。

ホノルルに比べハワイ島には日本人リアルターはごく少なく、東側に至っては皆無だった。
せっかくの有益なインターネットの情報は英語のままで、それは顧客たちにとり全く意味を成さなかった。

相変わらず1万ドルで現地で購入したハワイアンショアーズの土地を、日本で700万円くらいで売った。

そしてお客さんの懐具合によっては、西側のワイコロアヴィレッジを勧め、4万ドルで仕入れた土地を1500万円で売った。

ロングステイまでまだ間がある現役世代の顧客たちには、「将来値上がりするから」「来たる日の建築費用のために」、「いつでもうちで引き取りますから」と言って、ハワイアンエーカーズの土地を勧めた。
そこは3エーカー(約3600坪)の原生林のジャングルの土地だった。
道路は未舗装で、溶岩台地そのものだから凹凸は特に激しい。しかも雨の多いこのプナ地区、一度シャワーがあれば四駆でもタフな道だった。
おまけに水道も電気もない。遠くでは野良犬が吠えている。あちこちに廃車が積み上げられている。当然管理組合もない。
もし家でも建ててロングステイをしたら、次来る時には恐らく車も何も果たしてそのまま残ってはいないだろう、そういう場所。
値上がり?投資?
この場所に最もそぐわない言葉だった。

そのはずだった、、、

しかし、その言葉がまさか現実のものとなってしまう。

例のサブプライムローンから始まる米国住宅バブルが始まったのだ。

真っ先にホノルルやマウイの不動産価格が高騰し出した。

やがて田舎のハワイ島でも、西側の地域で値が上がり出した。
ワイコロアヴィレッジの土地は20万ドルを優に超えた。

バブル最後の方では、ハワイアンショアーズの土地価格までも上昇した。
2万ドルとなり、程なく3万ドルとなった。そして4万ドルをも超えた。

しかし、ハワイアンショアーズを主に扱っていた会社はここで困ってしまった。

仕入れ値が高騰すれば売値も高くしなくてはならない。
しかしハワイ島東側の”年金”での”田舎暮らし”を売り文句にしていたそれに1千万以上の価格は付けにくい。

そこで会社では、それまで放っておいた売却希望の顧客から土地を買い戻すことにした。
言葉巧みに、そして売りたい相手の弱みに付け込み、現地市場より格安で買い取り、それを即新しい顧客へと高値で転売した。

アイナロアを主に扱っていた会社も同様なことをやり始めていた。
でもこの会社では転売を日本人向けにではなく、逆に現地市場へ、高騰するマーケットへ”正規に”転売した。
これに追随する新しい会社も起こった。
情報が公正で透明なハワイの不動産業界の事情を逆手に取り、ハワイ州登記所やハワイ郡役所のデータから日本人の土地所有者リストを作成し、日本で安く買いたたき、現地で高く売った。

そして程なく、リーマンショックが起こった。

〈続く〉

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