2008年03月31日

ハワイ不動産の現実 <契約編>

海外ロングステイ相談室に新しい依頼です。

ハワイの不動産の売却に関してです。

数え切れないくらいやっております。

したがって今回もすんなりとことは運ぶ、、、、予定でした。

しかし結果的に言いますと、今回のは売却はできない物件でした。
買主がなかなか現れないとか、売買金額が折り合わないとか、そういう理由ではなく、売ることができないそういう特殊な物件でした。
所有者なのに勝手に売ることもできない、そういうことも稀にはあるのです。

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依頼人はある日本の不動産会社から、今から20年ほど前ハワイのコンドミアムを購入しました。
そしてそのコンドミニアムをすぐに賃貸にまわすことを決めました。定期収入を得るためです。

以前にもこのブログの中でご紹介しましたが、ハワイは慢性的な賃貸物件不足地域なのです。
それに加えて圧倒的な観光客の数ですので、一層賃貸物件の需要の高い稀有な地域なのです。
ですから、購入したコンドミニアムを賃貸市場にまわし、副収入を得ようとするその行為は、とても利にあっていたことなのです。

依頼人は購入した不動産会社と賃貸借契約を結びました。
正確にはその不動産会社の現地法人とです。しかしここから少しズレが出てきたのです。

通常はどこかの不動産会社から物件を購入したら、現地で新たに管理会社を探すか、もしくはその不動産会社の管理部と管理手続きを結びます。
言葉や法律等の不都合がありましょうから、現地の日本人不動産管理会社と管理契約を結んでも良いです。ただこの依頼人の場合は、購入した不動産会社と管理契約ではなく、賃貸借契約を締結したのでした。

管理契約は文字通り所有者に代わり、煩雑な管理手続きの一切をすることです。ですから不動産の権限そのものには影響はありません。
それに比べて賃貸借契約はある一定期間、所有者としての権限そのものを、その会社へ賃貸借するということです。もちろん売買等はできるわけではありませんが、所有者自身もその契約期間は売買することは当然できません。



まず依頼主の不動産について登記されている記録をエスクローに問い合わせ、同時に登記所から登記書類を取り寄せました。
結果、まず物件はフィーシンプル(所有権)ではなく、リースホールド(借地権)でした。ハワイでは一般的です。
そして問題の賃貸借契約は2005年の12月31日までで、ただしその後は双方の合意により延長できるとありました。「よし、これなら大丈夫」と思い、早速ハワイの同地域に詳しいリアルターに連絡をして、リスティングの用意をしました。昨今は特に、決めたら即動き出さないとマーケットは悪くなる一方です。

あいにく依頼主は、所有者ですが鍵を持っていません。(管理契約ではなく、賃貸借契約をしているのですから当然といえば当然です)しかし内覧しなくては、はっきりとした売出し価格はつかめません。

そこでコンドミニアムのマネージャーの連絡先を調べ、これこれこういう理由でリアルターを向かわせる旨を電話で伝えます。こちらは所有者から委任状を頂いております。正当な権限です。

ところが彼の返事は「ノー、内覧はできないよ。第一このコンドミニアムに君たちが普通にリスティングできる物件は一軒もないよ。それでもコンタクトしたいなら、まず東京のオフィスを通してくれ。」ということでした。
調べてみますと、このコンドミニアム一棟まるごと、依頼主が購入した不動産会社の現地法人が全所有者と賃貸借契約を結んでおり、しかも過去の売買履歴が一つもない、非常に珍しいコンドミニアムです。

おそらく全所有者が日本人で、その全員が依頼主同様その日本の不動産会社から購入し、そして賃貸借契約を締結したのでしょう。
しかし、契約は既に切れているはずです。2005年で一区切りのはずです。

たとえその後合意により延長されるといっても、延長期間に関してはハワイ州の法律で、45日前に文書にて告知すれば解約可能なはずです。
とすれば、件のマネージャーのせりふは違法です。


早速その日本の不動産会社の担当者に連絡をしました。しかし、ただ今会議中です。申し訳ございません。とか、本日終日外出中です。何度連絡してもそういう返答です。
でも繰り返し、電話、メール、FAXと入れ続けます。根比べです。こういう仕事をしておりますと、この様な応対には結構慣れているのです。

ただ、あのマネージャーのやけに自信たっぷりな声に一抹の不安を感じていましたので、もしやと思い、追加登記された要項がないのか、同時に念のためエスクローを通じて探してもらうことにします。

アメリカでは、付帯事項、追加登記、そういうものは珍しいことではありません。何しろ契約の国です。

イチローもマツイも分厚い契約書にサインしたように、どんなものでも、書面にし、契約にしてしまうお国柄です。

予断ですが、「聖書」、新約とか旧約とか、その約は「契約」の約です。
あれは神様と人間との契約事を記した書面なのです。つまり我々日本人と違い西洋では神代の頃から、契約というものが一般化された社会なのです。
日本人の「まあまあここはナニで、アレしときますから」いう意味不明な暗黙の了解は一切通じない国なのです。
本当に注意しましょう。

もう一つ予断ですが、例のサブプライムローン問題も実はこれに関連します。
サブプライム、つまりプライムではない貸付信用度の低い人たちを対象にしたローン、これを申請した人の多くは、実は移民です。メキシコや中南米からやって来た人たちが圧倒的多数でした。
そして共通していることは、契約書を読めないのです。だからリアルターやブローカーに言われるがままに、内容も理解しないままに署名し、あとはこの有様です。苦労の末やっと手にした我が家を、一瞬で失いました。


依頼人と不動産会社が締結した賃貸借契約の付帯条項見つかりました。

きちんと登記されていました。

探すのに時間と手間、相当かかりました。もしかしたら、他にも別途事項あるかもしれません。
でもいったいどれほどの数の別途事項があるのかは、結局当事者間でないとわかりません。

その内容は、僕が今まで見たことがないくらい、専門的な知識を駆使されてつくられた、とてもスマートで、そして非常に腹の立つものでした。



長くなりましたので、この続きはまた明日お話しします。



posted by 海外ロングステイ相談室 at 22:17 | ホノルル ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ○海外ロングステイ相談室の事件簿