2008年07月25日

ハワイサブディビションのアソシエーション(前編)

ハワイ島のプナ地区、その昔サトウキビ畑として日本の移民が暮らした町です。

そこはワイキキやカイルアコナのようなリゾート地とは対極にある、今でも古きハワイが色濃く残る田舎町です。
そして最近インディージョーンズ最新作のロケ地にもなったほどの、つまりたくさんの原生林に囲まれたそういう地域です。

手のかかったリゾート地ではない分、価格もお手頃なせいで、近年ハワイ版田舎暮らしの地として日本人ロングステイヤーも数多く暮らす地域でもあります

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これはそのプナ地区のHB地域に居を構える日本人ロングステイヤーD氏のお話です。

今尚未解決なこの全ての問題は、D氏の隣人が元凶です。
隣人といっても家があるわけではありません。
写真のように鬱蒼と樹木が生い茂るこの空き地主のことです。
D氏はその樹木の被害に頭を悩ませているのです。

D氏は隣人のことを知りません。面識はありません。
だからインターネットを駆使し、D氏は隣人の住所を調べます。
そして手紙を出します。
しかし何の返事もありません。
ますます手は限られてきます。

そうこうしている間にも植物はまるでジャングルの様相です。早いところ何とかしなければ、本当に木々は倒れて来そうです。




このHB地域はプナ地区の多くのサブディビションがそうであるように、農業地地目として登記された地域です
だからインフラはありません。
水や電気は自ら引き込まねばなりません。
そして何よりこの地は自治組合(アソシエーション)が存在しません。

実はこのことは特にハワイ島(ハワイ郡)ではとても重要なことなのです。

日本で自治組合というとマンションの管理組合のようなものをイメージすると思いますが、あちらではアソシエーションというのは郡や裁判所から正式に認可された公的な機関です。
いざとなれば所有地に抵当権をつけることもできます。
いわば小さな政府であり、本当の意味での自治会です。


そしてその運営は地域に住まわれる方だけで、ほぼボランティアで運営しています。いわば第3セクターと同じです。

不動産を所有する人たちから会費を集め(会費といっても、これも裁判所で決められた所有者の義務です。だから任意ではなく強制です。)分譲地規約や道路舗装(もしくは未舗装道路の整備)をつくり、少ない予算で住んでいる住民の暮らしを出来る限り向上させます。
当然限られた予算ですから、リゾート地のそれのように目に見える設備投資は到底出来ません。
未舗装を舗装にするだけでもあと何年掛かるか、そういうレベルです。
では会費を上げれば良い気もしますが、そうするとほとんどの住民は真剣にそこを離れて少しでも安い会費のサブディビジョンを捜すことを考えるでしょう。

そこの地元住民たちの多くは決して経済的には豊かとは言えないのです。
田舎暮らしを求めてそこでロングステイする日本人オーナーとは違い、彼らにとってそこは別荘地では当然ありません。
極論を言うと、そこしか住む場所がない人たちなのです。

だからもしアソシエーションの会費が年間たった100ドル(一万円程度)でも値上がったら、本気で引越しを考えざるを得ない人たちがそこで大勢暮らしている、そういう地域なのです。
経済レベルはサトウキビの時代と何ら変わっていないエリアなのです。


悪いことにこのHBサブディビジョンにはハワイ郡に公認された自治組合(アソシエーション)がありません。

道路は未整備の未舗装で、当然規約は何もありません。
負担する会費も無い代わりに、こういう場合苦情を伝える機関もないということなのです。



D氏と僕は、このD氏邸の建築時知り合いになりました。
その時あった別のトラブルを通じてです。(でもそれは幸いなことに解決済みです)
正直言ってD氏と知り合った時おせっかいなのは百も承知で、このような地域で家を建てることは止めさせようと思いました。
でも、このD氏なら大丈夫かな、そう思えたくらい、この方はバイタリティーのある方でした。

現役時代パイロットをされていたので英語力ももちろんですが、それ以上に“生存力”の強い方なのです。

だからD氏でなければ、例え建築の途中であっても、この地に居を構えることは普段なら猛反対しています。
後日必ず問題が起こるからです。
そしてそれを解決させることは非常に困難なのです。


小さな政府である自治組合の存在が大きいハワイ島では、逆に郡の力が弱いのです。
だからこういうアソシエーションがない地域で一旦こういう問題が起きてしまうと、解決することが非常に難しくなってしまうのです。


最初に弁護士宛に手紙を書きます。



弁護士からの返事

Dさんへ
まず、本件のような問題はハワイでは度々起こりえることです。しかしその解決は簡単ではありません。ハワイ郡は通常このような場合、具体的な被害、危険が起こらない限り関わりません。そして郡は恐らく、直接当人同士で解決してください、と説明するでしょう。しかし先方は理解しないでしょう。したがって唯一つの方法としては訴訟を起こすことが考えられます。ただ、裁判所では隣地の落ち葉が流れ込んでくるという理由では本申請を受理しないかもしれません。しかし隣地の枝が、敷地内に入り込んでいるとか、著しい被害を与えている場合には話は別です。まずは、ハワイ郡よりの返答を待つことも肝要かと思います。その後、直接本人に手紙を出す場合、もしくは法的な手段をとる場合には当事務所に連絡下さい。
もし訴訟を行う時には、第一にそれが具体的に重大な被害を被っていることを立証する必要があり、それができるかどうかが重要です。それを前提の上で当事務所が訴訟を行う場合の費用は2,000ドルからとなります。
ハワイ州弁護士



今度は郡公共事業部部長宛に手紙を出します。


郡への質問

ハワイ郡公共事業部御中

隣人の件ですが、所有地の管理を怠り、木々は長々と生い茂り危険極まりないです。
現に落ち葉は我家の雨樋を塞ぎます。
しかしながら当分譲地には相談できる公認の管理組合がありません。
したがいまして本件の解決につきご相談いたしたくお手紙申し上げました次第です。




郡からの回答

Dさんへ
本件は私的なことと判断します。したがいましてD氏と近隣住民との間で解決されるべきことと思われます。D氏の場合は弁護士を通じての法的解決されることが望ましいかと思われます。
ハワイ郡公共事業部部長




今、D氏は思案中です。隣人に対して訴訟を起こすかどうか、です。




僕は今週D氏と会い、この件の相談を受けました。

D氏はなかなか決心が付かなくて、とても困っているとのことでした。

僕にしても同じです。結論はなかなか出ていません。本当に難しい問題です。


今日で話しを聞いてから2日経ちました。今でも思案中です。アイディアは何も浮かびません。


本件で訴訟を起こしたとしても得るべきものはないだろうと思います。そして恐らくD氏もそのように考えています。

では、いったいどうしたら良いのか、それがまったく考え付きません。


難しい問題です。


週末にかけてじっくり考えてみようと思います。


来週もう一度D氏と会います。

それまでに、何か方策を考えてみます。

実に難しい問題です。
posted by 海外ロングステイ相談室 at 21:27 | ホノルル ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ○海外ロングステイ相談室の事件簿