2008年12月18日

手のひらのトークン

今朝、久しぶりに着ようとした古いダッフルコートのポケットから、トークンが出てきました。


トークン、歪な穴の空いたニューヨーク地下鉄用の代用硬貨のことです。

でも、今ではニューヨークも日本と同じくメトロカードです。

トークンはとっくに姿を消しています。


そんなトークンが、今朝ポケットの中から出てきました。

最後に行ったのはそういえば冬だったな。ひどく寒かったっけ。

City001.JPG



ところで「手のひらのトークン」という小説をご存知ですか?

実は僕の好きな小説のひとつです。
本編では、二十代後半の若者が東京の仕事を辞め、ニューヨークへ向かいます。
その若者のNYまでの日々とNYでの日々が、等身大の視点で淡々と切々と綴られている話です。
でも大抵の人の人生と同じ様に、この本の主人公のNY生活にも、特別なことは何も起こりません。
我々と同じ様に小さなことで苦しみ、そして些細なことに喜びを見出しています。
そんな小説です。
 

当たり前のことですが、ニューヨークで暮らしているからといって、特別にドラマチックなことは起こりません。

結局、東京だろうが秋田だろうがスリランカだろうが、どこで生活していても日常なんてきっと同じ事の繰り返しで、つまりありきたりに平凡で悩み多きものなのかもしれません。
 


でも、ふと眺める景色が違うだけで、気分が変わることは確かにあります。
 

聞こえてくる音が気分を高揚させてくれることもあります。 

山手線の窓からぼーと眺める景色と、サンフランシスコのミュニトレインから眺める景色では、その時想うことは確かに違っています。

そして想うことが違えば、確かに気分も違ってきます。
(少なくてもそんな気がしてきます。)
 

うまくいけば、そうやって気分が違ってくれば、きっと行動だって変わってくるかもしれません。



異国での、最初の頃の不安とドキドキ。でもそれは若かったし、しかも単純でもあったから、その高鳴りをときめきだと誤解していたのかもしれません。

でも本気でそう信じているうちに、本当にときめいてくるから不思議なものです。


 
「海外に行く」とは、案外そういうことかもしれません。


もしそうなら単純に魔法にかかってしまった方が楽しそうですね。



それにしても、このトークン、、、、。 

時代ですね。
 


ニューヨークで、歪なあの穴から覗き見えた景色、そしてその時の想い、忘れませんよ。


追伸:これから「海外に」を考えている方にはこの本はお勧めです。ただ繰り返し言いますが、はらはらどきどきはありません。淡々と切々とした平凡な物語です。でもじんわりと心地良くなる小説です。
手のひらのトークン BY 安西水丸          



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posted by 海外ロングステイ相談室 at 19:59 | ホノルル ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | ○and others