ハワイ島プナ地区に不動産を所有している、特に不在地主の方たちは特に十分にご注意下さい。
当相談室へお問い合わせを頂いた方の中には、近隣住民からの苦情はおろか、そもそも四方八方に建物のない、周囲は全て空き地だった、というケースも少なからずありました。


皆様の、特に不在地主の方たちへの自衛策としては、その民間会社の言い分を鵜呑みにせず、1)必ずその苦情主本人からの手紙をもらうこと、2)更には地域のアソシエーション(自治管理組合)へ直接事実関係を確認するなどして、どうかこの悪質な詐欺被害から身を守ってください。


ハワイ島東側、そしてこのプナ地区は、もともと木々の被害に関する問題の多いとことです。
ここは亜熱帯の、つまり簡単に言うとジャングルのような気候の場所です。
木々にとり、人間にとり、本来この上なく恵まれた自然環境をもつ地上の楽園です。
しかしその恵まれすぎた環境ゆえに、際限の無い恵みをもたらします。
時として、その大きすぎる恵みは、我々人間にとっては、害となることもあります。


話は少し脱線しますが、英語で言うエステートやサブディビジョンのことを「分譲地」と訳すことによる誤解があります。
ハワイ島プナ地区の土地は生土地です。
家を建てるまでは実際その広い土地の形状は誰にも分かりませんし、そもそも奥深くまで進入することなどほぼ困難な区画です。
びっしりと数十メートルの地のまま原生林が生い茂り、だからそれを日本の感覚で分譲地などと呼ぶとやはり要らぬ誤解ばかりが生じます。
現地の人たちにとっては、整地もしないのに家を建てないのに土地だけを購入し、しかもそれを長期間所有し続けている我々日本人不在地主の考えを理解することは到底困難です。
あちらでは不動産とは人の手が加わったものを言います。
ただの土地が不動産であるという概念を皆が持っているわけではないのです。
そもそも日本と違い、インフラ整備も最初からからというお国柄ではないですし、また土地によっては、生い茂ってる木々によっては、その整地費用は土地代以上の価格となることも珍しいことではないですし、また整地をして初めて知りうる土地の形状によってはダイナマイトなどを使い岩盤を削るなどの工事が必要となる場合もあります。
概念が違うのです。
土地とはただの原料です。
そこに手をかけ、加工して、はじめて商品となりうるのです。
だから不動産とはあくまで人の手が加わったもの、資本が投下され整備されたもの、つまりは建物であるということです。
だから今度は逆に、あちらでは日本と違い築30年で建物の価値が0になるなどという馬鹿なことは起こりません。
整地された土地、整備されたインフラ、定期的に部品交換され修理され続ける建物、こういうものをあちらでは不動産と呼ぶのです。
話を戻します。
ハワイ島プナ地区で一番問題になっている木々はアルビジアという種類の木です。
このアルビジアというのは元来のハワイ種でなく、いつのころからかアフリカより持ち込まれ、年々その生息範囲が広がっていて、現地では「ジャンクツリー(ごみ木)」と呼ばれている木です。
成長が早く、巨大になります。
表面は硬いのですが、その割りに中はスカスカで直ぐにポキッと折れます。
落ち葉が雨どいをふさぎ、もろく硬い大きな枝は隣家の屋根を傷つけます。
またいくら切っても地面に落ちた種からまた直ぐに生えてくる、そういうやっかいな木です。
ですから実際に近隣住民から苦情が出ることはあります。
そういうことは少なからずあります。
そしてそういう問題が起こった場合はオーナーの管理責任として処理する義務があります。
だから問題は、大切なことは事実関係の認識です。
不在地主である方たちの多くはご自身の目でそれを確認することができません。
ですから何をもとに真実かどうかを判断するかです。
たとえばご所有の土地がアソシエーション(自治管理組合)によって運営されている地域の区画でしたら、たとえばそのアソシエーションへ直接事実確認してみるべきです。
ちなみに自治管理組合といってもこれは日本でいう管理会社とは意味合いはまったく違います。
何しろこの組織には仲裁権や強制執行権が裁判所から認められていますので、ですから日本でいう管理会社というよりは役所といったほうがより正しい解釈になるかと存じます。
逆にこうした木々の問題が起こった場合、民間の管理会社にできることは、ほぼありません。
隣家に苦情を言うために手紙を書き、その返事が無いからといって、勝手にその土地に侵入し勝手にその木々の伐採をすることは、不法侵入であり器物破損となってしまいます。
しかし強制執行権のあるアソシエーションの場合は違います。
手紙を書き返事が無い場合は、アソシエーションが独自に業者を雇い木々を強制的に伐採し、そこにたっぷりと反則金までつけてオーナーへ請求します。
もちろん返事が無いごとに当然延滞利子は膨らみ続け、最後は強制執行となります。
その上しかも競売でその債務がまかなえなかった場合には、個人債務として残り、残債は永久に消えないまま利子だけが更に増え続けていくのです。
もう一度言います。
アソシエーションは日本で言うディベロッパー発の管理団体ではありません。
ですからアソシエーションが管理しているのは、地域全体の道路補修であり、公園整備であり、水道補修などの、つまり公のものだけです。
だから私的財産である区画内部の管理は全て本人の自己責任により管理されることが基本です。
木々が生い茂り隣家の家に被害 を、、というような場合には自治管理としてもその仲裁に入ることはありますが、日々の管理はあくまで所有者本人がするのが基本です。
ハワイ島プナ地区には、数少ないですが自治管理組合がない地域もあります。
そういう地域でのこういう問題に関しては当事者同士の問題ということになります。
ハワイ郡一切介入しません。あくまで民事不介入です。
だからもし解決できないまま実際に被害が起こったときには、その後は双方は裁判所にて対峙することになります。
問題が起こった場合にはまずはその苦情主からの苦情内容を知ること。
「いったいどの木がどの程度隣家に対して害を及ぼしていて、それを解決するために何本それを撤去するべきなのか」
そういうことをきちんと双方で確認しあう必要があります。
その上でまずは、きちんとライセンスを持った、そしてきちんと保険に加入した業者から工事見積もりを出してもらってください。
もちろんそれを実際にご自身の目で確認してください。
何よりもオーナー同士双方が話し合い、お互いに所有者の責任を果たし合うことが、特に異国に不動産を所有してる不在地主である我々にとりとても大切なことだと思います。
全てを人任せにしてはいけません。
それではそこに付け込む輩の思う壺です。
そこはあなたの大切な不動産です。
やはりこれはあなたの問題であり、あなたの責任なのです。
問題は英語ですか?それとも現地の法律ですか?それとも現地の習慣ですか?
だったらお手伝いはそこだけで十分なはずです。
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