

日本ではその一社にて図面作成から各種許認可の申請、そして施工までその全てが、つまり一つところで目的が完結できてしまうシステムのようですが、ハワイ(アメリカ)には「設計施工会社」というものがそもそもありません。
ハワイ(アメリカ)にもいわゆるゼネコン会社はありますが、しかしその場合も設計と施工は分かれていて、ハワイのゼネコン会社が扱うのは施工についてのみです。
さらに言えば、ゼネコンが必要な規模の工事でもない限り、この施工にしても施主が自ら各種工事の専門業者へ直接発注して、そのゼネコンへのコスト(須らくこういうコストの比重は決して小さくないものです)を下げることもこれはハワイ(アメリカ)では一般的です。
大規模なホームセンターのようなものがアレだけ数多くあるアメリカの文化では、やはりオーナービルド(施主による、自身での建築)という行為も珍しいことではなく、こういうのはやはりお国柄というか、、、文化風習の違いですね。

なるべく一つところで全てを済ませたい日本人と、中身を明確にし自分に必要なものとそうでないものとをあくまで自分の意思で選び決めたいアメリカ人、、、、、。
そういえば例えばあちらのレストランでハンバーガーひとつ頼むときでも、いちいち細かく、その中身についてこちらに選択を求めてくるアメリカ式ですから、、、、こういう文化風習には日本人には慣れていない分、戸惑ってしまいますね。


ハワイ島プナで家を建てるときには、だから多くの場合は、HPMなどで予算によって数種類ある標準の図面から気に入ったのを選んで、そしてもともと建築資材屋さんでもあるHPMにはその図面にあった部品がたくさんの選択肢と共に売っているので、材料も全てそこで揃え、あとの施工についてはゼネコンが許認可の申請をしそしてそれぞれの作業工程に応じて自身のやりやすい専門業者へ仕事を発注して、その下請けが組み立てる。
簡単に言うとこういうやり方で行われることが多いハワイ島建築です。

もちろん建築士に依頼し完全なオーダーメイドの図面を作るのも自由ですが、そうなるとHPMに売っていない部品を使用しなくてはならなくなる場合も多々でてくるので、結果コストは大きくなることは必死です。
何しろサウスコハラのラグジュアリーリゾート建築ならともかく、ここはハワイ島プナです。
普通のアロハの人たちが暮らしている本当のハワイです。
あまりに豪華な家は、、、、うーん、、、、そういう場合にはやはり根本的に場所そのものを変えることをお勧めします。
5千万円以上で、更にはもっともっと1億2億の家をこの地に建てることは、、、もちろんこういうことは当然100%施主の自由なのではありますが、、、ただやはりいつか来る売却のこと、そのことを考えると、この地では、うーん、、、果たしてどうなのか、、、、、、さてその時にいったい誰がこの家を買ってくれるのか、、、、、やはりそういうことまでも考えた上での結論を出す必要はあるように感じます。

またHPMでの標準図面の中から選べなかったとしても、しかしその標準を基として改めて建築士にセミオーダーの図面を作成してもらうこともできます。(つまり標準図面の切り張りのようなものですね)
これならプランはオリジナルでも、でも材料は結局全てHPMで調達できるので、建築コストもリーズナブルで、且つ将来的なメンテナンスにも便利ですね。
さて、非居住外国人である我々日本人が、実際にハワイ島プナでの建築を決断するとき、心配なことはいくつかあります。
言葉のこと、慣習のこと、何より海の向こうでのことなので、おいそれとは見に行けないという不安、、、。
そういうことで例えば、日本の建築のプロ、例えば一級建築士の資格など持つ日本のプロを抱える日本のハワイ不動産会社なんかで、そして尚且つ現地へ駐在員としてその一級建築士が建築現場をも管理してくれる、、そういう会社へ依頼することがあります。
安心感がありますし、また日本の建築士のレベルは世界的にも相当に高いので、期待値も大きくなります。
でもそういう場合でも、あたなが施主としてそこに忘れてはならないことは「経済的合理性」です。
つまりはそこには、リーズナブルがあり、アフォーダブルがあるのか、です。

ハワイ島のプナ地区はリゾート地ではありません。
土地はもとより、建築金額にしても他地域に比べてももともととてもリーズナブルな地です。
例えば3寝室2浴室2車庫のごくごく一般的な家で今なら20万ドルもみていれば、おそらく特に一般的な日本人感覚でみると、信じられないほどに素晴らしい良い家が、まさに大邸宅が出来上がります。
(ちなみに同様の家をほぼ新築の中古市場で買うと12、3万ドルでも、これも相当に質のよいほぼ新古が手に入るでしょう)

ハワイ島プナ、せいぜい土地価格が1万ドルほどの場所に、かかる建築費用は整地代から何もかも含めて20万ドルほどで大邸宅ができてしまう地です。
さてそこに日本のレベルの高い建築士がやってきての第三者としての現場管理、、、、。
果たしてそこに経済的合理性はどれほどあるのでしょうか?
まずは現場管理の目的そのものを再認識しておく必要があります。
高い能力を持った日本の建築士です。
当然図面に沿ってきちんと進行状況がチェックされるでしょう。
何もないうちはそれでいいのです。
しかしもし何か不都合が起こった場合は?
その時にはその日本からの建築士はハワイの施工業者相手に交渉をする必要がでてきます。
建築士が指摘した点を、さてそれを実際に現場で修正するのは地元の大工さんたちです。
地元の業者です。
実際の作業をするのはこの日本からの優秀な建築士ではありません。

20万ドルの建築というのは、施工会社にとってはそれほどに金銭的なうまみの大きな現場ではなく、当然経営者としては作業のスケジュールもタイトにしているはずですし、だから交渉しても言ったとおりになる確立は、、、、相当に厳しいものがあるでしょう。
レベルの高い優秀な日本からの建築士なら建築過程での誤りや訂正箇所を、的確に見つけるでしょうが、しかし問題はその後のことということです。
つまりは結果的には、その建築士の注文どおりにはなか工事が進んでくれない、、、、、、最終的には苛立ちとストレスをかかえて終わるということも、事実あります。

20万ドルの建築費の住宅をオーダーする現地ハワイ人オーナーが施主の場合には、現場管理をする第三者の存在はありません。
それはつまり、これが20万ドルの建築だからです。
素人という点から見れば、現地ハワイ人オーナーにしても日本人オーナーにしても同じです。
建築に関しては皆が皆素人です。
それは英語ができようができまいが関係ありません。
これは余談ですが、それがこと専門性の高い分野であればあるほどに、言語能力なんてほとんど無力になります。外国語を解さない医者や農家、もちろん建築士の方同士の方が、却って自らの専門分野のことについては、言葉など通じなくても専門家同士でコミニュケーションが取れるものです。
逆に専門知識のない語学力だけの通訳の存在は、時として大きな誤解を生み、事態を困窮させる原因となることも少なからずあります。

現実的な面から、そして地域性や、市場性や、経済面をも含めて、できるだけ俯瞰でものを見てそして改めて考えてみると、20万ドルという規模の建築でまず一番に優先されるべきことを自らで決めておくことが必要です。
ハワイ島西側のサウスコハラの例えばマウナラニリゾートなどで、2ミリオン級の家を建築するなら、別です。
もともとこういう地域で建築をする施主はコストパフォーマンスなど求めていません。
ポルシェやランボルギーニのオーナーがそうであることと同じです。
目的は「素晴らしい家を作ること」それだけです。
ですからこういう現場こそ、別途現場管理の人を、それこそ能力の高い日本の建築士を別途派遣しても痛くもかゆくもないし、施工会社としても第一優先の仕事となるでしょうから、建築士と施工会社との交渉もスムーズにいくことでしょう。
でもよくよく考えてみると、、、こういう2ミリオン級の仕事とは、当然最初から施工会社の方でも、各持ち場のエース級でするべき第一優先の仕事となるので、、、、そうなると、こういうケースには別途の現場管理の必要は、、、もともとその必要性自体が今度は疑問となりますが、、、、、、、。
つまり例えばメルセデスで車を買うときにわざわざ性能チェックをする人はいないでしょう。それと同じことです。

幻想としての安心感、、、実はこれが一番厄介なことであることを、我々は経験上既に知っているはずです。
しかしいざ自分のこととなると、やはりこれに囚われてしまう、これもやはり事実です。
それは絶対的な最善の方法がないからです。
幻想の安心感を得ようとすると、お金ばかりが出て行きます。
そして出て行ったお金の分だけ、うまくいったのだと思い込もうとします。
しかしもちろんこれはただのイメージです。
必要なことは現実を直視すること、その上で、絶対的ではないけれど、最善の方法を選んでいくしかありません。

それにしても20万ドル前後という建築費が実は一番微妙なのかもしれません。
手数料費用はパーセンテージ比率ですから、実態としての施工会社のレイバー(人件費)も、やはり余裕を持ってエース級を派遣するということは現実的には難しくなります。
施工会社の経営者のヤリクリが求められる、この価格帯は、実態としてはそういう建築価格となります。
発注する施主側からして20万ドルの建築の場合と2ミリオンのそれでは求めるものや希望するものはまったくに違います。
ですからここでハワイ島プナに家を建てる我々が手本とするのはやはり同じようにハワイ島プナに家を建てた現地の普通のハワイのオーナーたちのその姿です。

例えば20万ドルの建築を発注するのに現地の普通のハワイの施主たちなら誰も現場管理を別途雇うことはしません。
プナ地区の土地なら1万ドルで買えます。
そういう地域で、いったいどれほどのレイバーの現場管理人が必要となるか、、、、これは須らく費用対効果の問題です。
もちろん我々非居住外国人はいつも現地にいることができません。
完成するまで四六時中自身で工事を見つめていることはできません。
だから別途日本から、あるいは現地の信用できる誰かを現場管理として、工事の進行状況を見てもらうことも必要となる場合もあります。
それにしても誰でも良いわけではありません。
図面を読めることはもちろん、現場管理ですから、現場作業についてその工程なりが理解できて、且つ間違いを見つけられるプロである必要があります。
しかし当然プロにはそれなりの費用がかかります。それは20万ドルとは別途の費用です。
きっと2ミリオンの建築ならこういう場合でも別途費用は発生しません。2ミリオンの工事なら一人二人の別途経費など、潤沢な利益の中で余裕でカバーできるのです。
しかし前途したようにそもそも2ミリオンの建築工事なら、もとがエース級がオールスターキャストで仕事をしていますので、そこに別途建築管理の人間など、、、そこには必要ではないでしょう。


こういう問題は一般論として全てを一言で片付けられる問題ではありません。
そして正解などおそらくありません。
建築とは大きな、施主にとっても一大行事です。
じっくり多方面から考えてみる必要があります。
須らく人件費とは一番かかるもの。
もちろん必要なものにはお金はかけなければ良いゴールは現れません。
しかしかけ方には、いろいろな選択肢があるはず、そういうことです。
そういうことを事前に俯瞰で考えておきたいのもです。
その上で、どんな結論にも必ずある、メリットとデメリットを認識して、自らの場合の方法の選択を、自らで出したいものです。

全てをお任せ、、、、、。
そういう発想から、きっと我々はひとつひとつ変っていく過程にあるのかもしれません。

現地の普通の近所のハワイ人の行動に学ぶことです。
自らが暮らす地域に、せっかくアフォーダブルな価格で、良い家を建てる以上、見習うべきはあなたの未来のご近所さんの行動様式です。
例えば、リーズナブル且つ安心感のある建築方法の一つとして、、、、、口コミだけ広まっている評判の良い地元に根ざした業者に仕事を依頼することです。
口コミで密かに知られる評判の良い業者、腕の良い業者、そういうところに発注することです。
そしてそういう情報こそ簡単には知りえることはできません。きっとそういう情報を、しかも確かな情報としてつかんでいるのは、あなたの未来のご近所さんたちだけです。

経済的合理性のある家を建てるためには、口コミを基に、そして事実データを調べ(実際に建てた家を見ることも含めて)、そうやってまずは実際にどの施工会社と契約を結ぶか、、、そこにのみフォーカスしていたほうが、あらゆる点でリスクは低くなるでしょうし、またコスト面でも、そうやって施工会社を決めればあとは建築士の代わりに通訳程度の人間が間にいればそれで十分でしょうから、その方がやはりリーズナブルでしょう。

腕の良い評判の良い地元に根ざした建築業者へ、、、。
もちろんこれはあくまで一例です。
全ての方にあてはまる一般論などあるはずはありません。

ただこれだけはいえます。
やはりきっと手本は、現地にあります。
現地の普通のハワイの人、あなたの未来の隣人のハワイの人の行動の中に、全てのヒントが詰まっているでしょう。
ハワイロングステイである以上、日本を持ち込まずに、そこは現地に見習いたいものです。
マハロ&アフイホウ
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追伸:
9・11、、、、、。10年前のこの日、僕はアメリカで暮らしていた。
カリフォルニアでの生活は既に7年目を迎えていて、そしてグリーンカードをアプライしている最中で、おそらくあの日の事件がなかったら今も尚アメリカで暮らしていたはずだ。
事件の後、ビザの件も含めて、取り巻く状況が劇的に変っていった。
そして10年弱ぶりで僕は帰国することになった。
日本に戻り、馴染めず、そして途方に暮れながら、しばらく時を過ごした。
やがて、かつて自分がそうであったように、、、、、海外で暮らしてみたい、、、、、、そういう思いを持つ、ごく普通の日本人のためのロングステイに関わる仕事を始めた。
9月11日、、、、。改めてこの10年の時を思うと、いろいろな感情が入り混じる。
笹本正明 東京にて
「ハワイ島プナ地区で家を建てるT」

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