
でもその時違和感を感じることもある。
「本当に伝わっている?」
「どういう意味?」
たとえ相手が日本人であっても、その人はもう何十年もその地で、その地のものさしで生きている人。
私たちが知らず知らずに、でもめまぐるしく変わる日本で生活している時に、相手はずっと彼の地で、彼の地の常識に慣れながら必死で生きている、生きてきた人だということ。
ものさしがもう違っている。
だから海外では、「日本語が通じること」と「感覚が伝わること」を同一に考えてしまうと、せっかくの関係が、結構嫌な誤解で幕を閉じる、ということにもつながってしまうことも少なくない。

「暗黙の了解」
「察する」
日本語でのコミュニケーションでは、話す言葉以上に、そういう空気感のようなもので、コミュニケーションをとっている場合が意外とある。
そこはいくら相手が、たとえ日本生まれの生粋の日本人だとしても要注意すべき点だ。
何十年と違う地で必死に生きていけばいくほどに、彼らも知らず知らずにその感覚がその土地のものさしでのものとなっているのだ。
言葉で伝わるもの、そこに「察してよ」というのは、まずそのバックボーンを理解していないと、そもそも察することはできない。
だったらいっそ、日本語をうまく話せこそしないけど、どっぷり昨今の日本に精通した外国人の方が「察して」くれます。
言葉が通じ合うことと、気持ちが通じ合うは似て非なり、です。

日本人だから。
日本語が通じるから。
ただ、相手は既に何十年とその地で生きている日本人です。
日本に住んでいる日本人へ話すときと同じように話すと、そこには間違いなく誤解が生じてしまいます。
せめて心がけておいたほうが良いのは、日本にいる時と違い、言葉を省略しない、相手がわかってくれていると期待をかけない、話す言葉それ以上のそれ以下の解釈をしない、、、、。
ただそれだけでも、きっともっと良い関係が築けるはず。

相手の文化を尊重する、これは何も外国人に対してのことではなく、海外に住んでいる日本人に対しても同じ、ということです。
マラーマ ポノ!



さておなじみにハワイ島プナ地区のアイナロア地区についてのご質問が届きましたので、個人情報につながりやすい箇所だけ変換して、参考までに皆さんにも是非ご紹介したいと思います。
質問;
はじめまして、こんにちは。
私は20年前からハワイ島のアイナロアという分譲に約320坪の土地を所有しています。
幸い英語はわかるので毎年の固定資産税や自治組合費は請求書が届くと必ず郵便局で為替小切手を作り送っています。
ただ実は最近離婚をし、そしてこのアイナロアの土地は夫婦名義で、今どうしようかと思案中です。
離婚した以上、もういっそ売却して、すっきりしたいと私は考えるのですが、元夫側は、売ったところで大した金額にはならないし、そもそも手続きが面倒臭いと動いてくれません。
実は私も元夫もこのアイナロアの土地を見たことはありません。
当時仲介をしてくれた業者からの写真でしか見た事がない土地です。
お聞きしたいのは、そもそも今売却したら現地価格でどの位で売れるものか相場を教えて頂きたいのですが、、、、、。

回答:
お問い合わせありがとうございます。
さてアイナロアの、しかも土地のみの不動産をお持ちということですが、、、、、、誠に申し上げにくいのですが、もうあまりマーケットは無いというのが現実となっております。
せいぜいが1万ドルほどで売りに出し、そしてもし9千ドル、いや8千ドルでもオファーがくれば、それを逃がさないように、そしてその中で金額以外の諸条件(測量とかを無しにしてもらうとか)をできるだけ売主の損にならないように交渉することが精一杯、、、、そういう情況です。
お支払いになられている固定資産税の情況と同じです。
毎年その金額は少なくなっていっていて、しかしあるときから半年間費50ドルで下げ止まったとことと存じます。
実はこの額は、農業住宅地の課税率での最低額で、よってこれ以下には下がらない限度額の税率です。
更には昨年度の課税評価額は11000ドルほどではなかったですか?
つまりそれが現状の評価となり、あとはそれを基準に市場の需要により価格は最終的に決定します。
ただここ数年の情況で考えていきますと、一昨年、昨年、そして今年とますます購入者のオファーそのもの数が少なくなっていっておりますので、この分ではこれから数年を待たずに同じプナ地区のナナワレ、チキガーデン、ハワイアンビーチズなどの分譲地同様に、例えば100の売り物に対してオファーが届くのは半年で1つか2つという情況に、それも相当に厳しい条件での、、そういう情況になってしまうのかもしれません。
ここアイナロアも、ご周知のように私のブログで頻繁に出てくるプナの地で、そして日本の一部のハワイ不動産業者により当時の現地流通価格の数倍以上の価格で日本人の皆さんへと転売された地です。
ここ数年はインターネットの普及やマスコミなどの糾弾によりこういう業者もだいぶ少なくなりましたが、しかし同時にそのことが、皮肉にも今度は買い手の減少とイコールとなってしまい、ますます市場はなくなっている地とも言えます。
将来のことについては容易くは予想することはもちろん避けねばなりませんが、しかしこのまま数年後にはほぼ価格は付きにくくなり(特に土地だけの不動産の場合)、そしてもちろん、もう一度バブル、を期待して待つ、、、、は、やはりもう難しいのでは、、、と考えざるを得ません。
ですからもし今後この土地に対して家を建てとか、そういうことをお考えにならないのなら、このままできるだけ下降線の下に行き着く前に、何とか売り逃げ、そしてその売却金はこの円高ですので、例えば銀行のドル口座にでも入金されておくのも一案です。
少なくても今のまま置いておいても、やはり毎年固定資産税と自治管理組合費の支払いはあるので、それならこの円高の中、ドル預金のままにしておけば、少なくてもそれ以上は減ることもなく、また少なからず利子も付くでしょうから、、、。
お気持ちはお察ししますが、、、、このままかの地の不動産が売れない、オファーがない、そういう市場にまで落ちるまで、ただ税金や組合費の出費だけは続くとおいう、そういう状態になるのだけは、やはり避けるべきかと存じます。
これ以上の損をしないために、今までの分は「損切り」ということもある程度の覚悟は必要となってくるでしょう。
もちろんこういうことを言われて直ぐにはお気持ちの整理も付かないと思います。
ですからまずは私以外にも複数の他業者から考えを聞いたり、そして最後はご家族の皆さんともよくよくご相談ください。
そしてもしその上で私に再びコンタクトいただけた時には、神ががりの解決は正直もう望めませんが、しかし今この時の最善を目指し是非一緒にやりましょう。


余談ですがちなみに私はこのアイナロアと他の同じくプナ地区のファーンエーカーなどという分譲地の自治管理組合理事会より依頼され、現在分譲地自治管理組合費(道路補修費の割符金)の滞納者へ、その法律により定められた義務を日本語でご説明するために、それそれの自治管理組合の理事から委任され(添付)日本のオーナ様へもお手紙申し上げました。
ですからもし貴殿が当該地についての質問事項などがありましたら、自治組合理事とのコンタクトの間を取り持つこともいたしますので、その時にはまたお気軽におっしゃってください。
またこれはもう一つ余談ですが、このアイナロアという区画はランドコートシステムという登記方法の区画です。
よってこの区画の登記には、必ずランドコート(土地裁判所)を経てから、登記所へ、という、いささかめんどくさい区画ではあります。(レギュラーシステムなら即登記所なので、簡単なのですが、、、)
例えばですが、今貴殿と同様にアイナロアをお持ちのオーナーさんの売買手続きの最中なのですが(8500ドルの価格でした)、しかしエスクロー手続きの途中、このランドコートの判事から待ったがかかり今日本から民法の写しとか謄本とかを翻訳し提出したばかりです。
内容は、実はこのオーナーさんも貴殿同様に離婚された以前のご夫婦名義だったのですが、、、、、、仮にこのオーナーさんの旧姓を佐々木さんとしますと、この方は最初の結婚で山田さんと結婚し、そしてその時に山田ご夫妻名義でアイナロアの不動産を買いました。
しかしその後離婚し、そして次に鈴木さんと再婚しました。
しかし訳あってまた離婚し今はお子さんと暮らされています。
そしてこの方の姓は離婚後の今も鈴木さんといいます。(ちなみに最初の山田さんと離婚後も旧姓の佐々木へは戻らずずっと山田さんのままでした。そしてそれはお子さんのためという理由です。)
そして今回ハワイの不動産の売却をすることとなり、まずは共同名義であった最初のご主人の山田さんから鈴木さんへの譲渡証書を作成し、そして次に彼女の姓の変更を証明するために日本の彼女の謄本をいくつか(一つだけではこちらに必要な情報がなかなか記載されていないのです)を訳しペティション&アフィダビットを土地裁判所へ提出したのですが、これが今相当に時間がかかっています。
今まで二度ほどリジェクトされ、あげくには日本の役所から民法の写しを入手し、それに再度アフィダビットを付けて再挑戦ということになっています。
つまり土地裁判所の言い分は、日本の女性は離婚後旧姓に戻るはず、なのでなぜ今彼女の姓は鈴木なのか、その証明が謄本に書かれていないし、また日本の常識ではそもそもそういうことはおかしいだろう、というのです。
これは日系人のハワイのクラークならではの、つまり中途半端に日本を理解している人の、石頭(私の偏見です)の見解です。
日本では民法の767条の第2項で離婚後の姓の継続の使用が認められています。
それを、おそらくはこのクラークのような日系人は古い日本の旧民法の頭があると思うので、なかなか新しい日本の法律をすんなりと受け入れてはくれにくく、またそもそもあそこはやはりアメリカで、しかしこの法律は日本のとなります。
ランドコートシステムの区画には、このようにいささか面倒な手続きとなる場合もあり、よってもし今回は売却をされないという決断になられた場合には、その時には後々のために、最低限名義のことは今のうちにきちんとされていた方が宜しかろうと存じます。
マハロ&アフイホウ
笹本正明
海外ロングステイ相談室
http://hawaii-consultant.com/

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