空気のせい?温度のせい?湿度のせい?
ここは人疲れを起こすほど都会ではない、かといって寂しくなるほどに閑散ともしてない、たぶんちょうど良い、程よい距離感のある空間の場所。


一年振り、また来れた。
なのに懐かしいというより、もっと自然な感じ。
ただただすーと、久しぶりなのに、着いた瞬間からごく当たり前にごくすんなりとこの街に馴染めたような気持になる。
すっと穏やかに、顔の表情まで変わってくる。
ただいま。

でも10年以上前この街を初めて訪れた時はこうではなかった。
うわっ。
田舎、、。
ジャングル、、。
何もない、、。

サンフランシスコで約10年暮らし日本へ帰国し、その直後にこの街へと訪れたから余計にそう思った。
夜のネオンはないし、それどころかこの街の夜は本当の夜で、真っ暗そのものだ。
ただ、コキ蛙が耳に心地よく鈴虫のように鳴き、そして闇に目が慣れてくると、世界で一番美しいといわれる満点の星空が見える。
夜ってこういうことだったんだ。初めてそう思う。
そしてしばし時間の経つのを忘れて、上を眺めている。

昔はニューヨークが憧れだった。
刺激と夢と未知なるわくわくを求めて海を渡った20代のころは、大都会以外の選択肢はみじんもなかった。
放浪の挙句元来の寒さが苦手という理由からニューヨークへは住まずに、文学と芸術と、そしてアメリカの都市では珍しくデカタンの雰囲気もむんむんに漂っていたサンフランシスコに魅了されてそこを住まいとした。
その頃の価値判断は、何事も一瞬で惹きつけられるか否か、好き嫌いとはそういうものだと思っていた。
だからこの街を初めて訪れた時、ここは否だ、と思った。
でも不思議なもので、それからもう10年以上この街にかかわって生きている。
そしてこの街のことを好きになっている。

サンフランシスコを訪れたことのない人でも、ケーブルカーのこと、坂道のこと、霧のこと、金門橋のこと、アルカトラズのこと、中華街のこと、ゲイのこと、知られていることは多いだろう。
でもこの街のことは、、、、雨が多い、、、、津波があった、、、。
さて他にはなんだろう?

ただ実際にこの街に暮らしていると、知らず知らずに、きっと頭ではなく身体が心地よくなっていることがわかる。
夏の夜でもひんやり涼しいからぐっすりと眠れて、毎日の短時間の雨(シャワー)により肌はいつもほど良く保湿されていて、太陽はギラギラしすぎず気温も28度前後で、貿易風が心地よく家の中を通っていて年中エアコンいらずで、たくさんのおいしい果物と野菜はそこら中に育ち、子供は人懐っこく、人々は一様に穏やかで笑顔、、、。
ニューヨークやホノルルと違って、具体的に特徴的に「何」はまったくないのだけど、ただただいつの間にか癒されている、そういう感じ。

一瞬で好きになることはないけれど、(1日2日の滞在では最初の僕の印象と同じだと思う)、理屈より先に、身体が馴染んでいる、先に身体が気持よくなってきている感覚。
だから頭でも後から、この街のことが、「何だかわからないけど、心地よいや」と思うようになっている。
こういう場所があったなんてね。
一年ぶりでも、落ち着く。すっと馴染める。ほっとする。
だから何度でも来たい。ただここにいたい。いればじんわりと癒されている。
毎日の天気は「雨のち晴れのち雨のち晴れのち快晴のち曇り」。だいたいそんな感じで毎日ほぼ同じよう。
30分大雨が降ってもその後は虹が出て晴れ。雨の街の隣町は最初から雨が降っていない。1キロ離れただけで天気が違う。
さーてこの状況をこの街を訪れたことない人にどうやって伝えよう。
平均降水量の数字を眺めているだけでは決して分らない実際の天気。
実際に行って、そして最低10日は何も考えずにただ滞在してみること、身体が快適だと言っているのが内からゆっくりと聞こえてくることでしょう。
人懐っこいやさしい人達の笑顔から、安らいでいる自分のことを見つけることでしょう。

そこはじんわりじんわり静かに静かに惹きつけられていく美しい場所。
今回もありがとう。
そしてまたね。
アロハ
笹本正明
@海外ロングステイ相談室
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