ハワイ島火山の溶岩流の最新情報は↓
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ここ数日、突然急に、ハワイ島の溶岩流のことが日本でも大きくセンセーショナルに報道されています。
上図は最新の溶岩流経路図です。
赤色の濃い部分が活動のエネルギーが強い部分です。逆に先端部は昨日今日とエネルギーが強くないようで、今進行は止まっています。
実際に現地時間の今日11月2日午前7時45分の時点では「溶岩流はまだ活動中です。しかしその先端は昨日一昨日からほとんど進んでおらず、パホア・ヴィレッジ・ロードまでは約150メートルの距離があります。」というのが数字上の事実です。
これ以上でもこれ以下でもありません。
4日前日本のあるメディアでは、「溶岩流は時速10メートルで進んでいて、今日中にもパホア村(?)の中心部のパホア・ヴィレッジ・ロードへ乗り上げるかもしれません。」という論調で報道されていました。
随分ショッキングです。
しかし反して今日もまだパホア旧道へは届いていません。
日本でも報道され始めたことは(事実を知らなかった人にとっては)良いことでしょう。
しかし、溶岩流経路に位置する家へ侵入する溶岩流ばかりをクローズアップで、そのショッキングな画ばかりをアップでずっと流したり、はたまた悲観的な感想を述べる現地の人のインタビューばかりを(意図的に?)流しているようにも思える報道を多く見識るうちに、不愉快にも似た違和感を、正直感じもします。
まあいいか、どうせいつものように、急に突然わーとやってきて、そしてまたあっという間に消えていくのだから、、、どうせいつものように一瞬だけのことだから、とそう思い諦めてもいいのですが、でもしかし、、、、。
今回のはその名の通り(The June 27th lava flow)、6月27日にプウオオ火口からの溶岩流です。
昨日今日に始まったものではありません。
そして速度も時速10メートルだったり、4メートルだったり、数日間動かなかったり、またぞろ動きだしたりと、ハワイの溶岩流の最大の特徴でもあるようにこれはもう長期戦です。
相当に時間がかかってこの今になっているように、この先もまだまだ時間はかかるのです。
それを突然わーとやってきて、その後例のように一気に引けていく。
我が国のそういう特徴を持つ報道スタイルとは、きっとハワイ島の溶岩流は、なかなか波長が合わないかもしれません。
何しろもともとハワイ時間のあるくらいの、時間の流れの違う場所です。
今日中に結論を求められても、それは無理というものです。
貴方の編集長は短気かもしれませんが、ペレはとても思慮深いのです。
実際自身の目で見るハワイ島の溶岩流と、ここ数日の日本での報道で見るそれとは空気感は明らかに違います。
本当に驚くくらいにゆっくりゆっくりなのです。
また周辺環境にしても、実際に溶岩流からわずか数百メートルの場所のレストランで今日もいつものように朝食のパンケーキを食べているし、商店も営業しているし、道端で子供たちは相変わらず遊んでいるし、簡易のいすを路上に並べて行列さながらラバの到着をのんびり見聞している人もいるし、およそ火山と聞いて我々が即連想するような悲惨なその想像は即裏切られるだろう光景がそこにはあって、拍子抜けしてしまうかも知れませんね。
だから短い期間で印象強い画を届けるのが使命?な日本の報道ではこの状況をそもそもどういう切り口で表現するかが、きっと一番難しいのかもしれません。
だからといって、溶岩流ばかりあまりにもクローズアップして映したり、避難のところだけ集中して映したりでは、それは確かに画はショッキングで見るものを引きつけるものとなるかも知れませんが、でも忘れないでくださいね、これは映画ではありません、ハワイ島の住民の日常の、生活の場なのです。
つまり例えば、ここ数日のあまりにショッキングな報道により、日本からの旅行がキャンセルとなった地元ツアー会社も少なくないのです。しかもこの溶岩流に直接影響が無い地域でです。
だからどうかお願いします。
決して煽りすぎないで下さい。
性急に、分かりやすいポイントだけを選択し、そこだけを掘り下げ過ぎないで下さい。
忘れないでください。ハワイの火山は長期戦です。そもそももともと活火山の島です。
そのうちの一つが今、今回の場合スタートは6月27日ということなのです。
地元の人はここ1,2ヶ月ずっと共存して生活しているのです。
そしてこの生活はまだまだ終わりません。終息までもやはりゆっくり、まだまだかかるのです。
でもだから、そういう溶岩流なので、例えば避難は計画的に段階的にできます。
迂回路や避難路の確保も、電柱の保全も食料の確保も、諸々用意していきながら備えていくこともできます。
だから死傷者は出ていない、突発的ではない火山活動だからこそです。
そのことはつまり、昨日と今日と明日の違いはあまりないかもしれません。
センセーショナルな画を求められても、ずっと昨日と今日は同じままかもしれません。
でもこれこそがハワイの溶岩流なので、どうかそれはありのまま伝えてほしいと切に願います。
例えば溶岩流があと150メートルに迫ったパホア・ヴィレッジ・ロードの南側に今月新店舗ががオープンする予定です。(場所は去年まで「Pahoa Cash & Carry」だったところです。)
http://deniselaitinen.com/napa-auto-parts-opening-pahoa-mid-november/
例えばこういう情報だって日本へ報道してもいいのではと思います。
活動中の溶岩流から500メートルと離れていない場所に、新店舗がオープンするというそういう感覚を、どうかわかりやすく解説して報道して下さい。
異文化こそセンセーショナルなものです。
何もわざわざ、異国へ出かけ、環境も文化もまったく違うそこで、自身のものさしで判断しなくてもとも思うのです。
異国へ行ったらそこのものさしでの図り方をまず知って、それを日本へ解説しながら報道してもらった方が正確に伝わるのではとも思うのです。
溶岩流の先端から僅か150メートル。
こういう場合、この言葉だけを聞けば、日本なら即時向こう何キロ圏は立ち入り禁止となっていることでしょう。
でもそこは日本ではありません。ハワイ島にはハワイ島の独自の自然状況があります。
実際ハワイ島の火山は、溶岩流は、このようにゆっくりゆっくりなのです。
また、そこは島です。太平洋の孤島です。
逃げ出すことはできず、火山と共存共栄して生きてきた長い長い歴史があるのです。
同じものさしで測ったところで、現地の真の姿は見えてこないでしょう。
溶岩流の先端から僅か150メートルとなった同じ通りで、その500メートルの範囲の中で今日も営業しているレストランや各種商店、そこを訪れるお客さんたち、新規オープンする店、、、これを理解しようと思うなら、日本で日本のマスコミが日本のものさしで編集した現地の姿を見るよりも、現地へ行き自身の目と感覚で素直に見たら感じたらいいです。
その方が一瞬でわかりますから。
そしてそれだけがきっと真実ですから。
当然長期戦ですから住民のストレスは相当です。
でもそれでも火山の島でずっと長く生活してきた長い歴史があります。
島ですから、逃げられません。共存共栄していかねばなりません。
それをしてきたのがこのハワイ島のロコたちなのです。
だからこそ、そういう今だからこそ、ここ10数年米国本土から移り住んできた、あるいは日本の長期滞在者たちも、今こそロコの長い歴史に学びます。
楽観も達観も培ってきた文化のきっと一つなのでしょう。
アロハの精神ももちろんそうなのでしょう。
ゆっくりの溶岩流なので、危険は少ないですが、その分結論はいつまでもわからないまま、なかなか次のことを計画することは難しいのも確かです。
例えば現実的な話、この地域の不動産の売買は今当然厳しいです。厳しいというより、止まっている、休止状態と言った方がいいかもしれません。
当然です。この先の溶岩流の状況如何で、環境も条件もがらりと変わるのですから、買い手も今は様子見です。
例えばもしこの先、このまま溶岩流が進みやがて海へ、、、となった場合、その経路の以南と以北の地域ではその後の不動産市場にも大きな違いが出てくることでしょう。
唯一の幹線道路である130号線が封鎖され、更に工事された迂回路にももし溶岩流が、ともなれば、以南の地域の交通手段は、唯一南周りのみとなり、つまり(工事中の)Chain of Craters Road を通りボルケーノ国立公園を出て、、、となるでしょうから、そうなるとヒロ市まで3時間はかかるし、ガソリン代もばかにはならないので、この先の溶岩流の進み具合というのは、現実的にも南プナ地区の不動産市場に影響は大ということになります。
しかし今は誰にもこの先のことはわかりません。できることはただ待つだけです。
だからこそ、焦ってはなりません。
先人に習い、待つしかないのなら、どーんと待ちましょう。
しかもこういう時は変なヤカラに付け込まれやすいときでもあるので、動揺せず、覚悟を決め待つ、これつきます。
幸いゆっくりゆっくりのハワイ島ならではの溶岩流です。長い歴史があり、共存共栄してきた島です。
行政も具体的に素早く動いてくれています。
迂回路の工事も本当に早かったですし、何よりあの1983年から1990年の溶岩流で寸断されたChain of Craters Roadが今迂回路として蘇えろうとしている、この行政の決断もその後の工事も、本当に素晴らしいです。
また先日のハリケーンの教訓を生かし、すばやく電柱をカバーしたHELCOもいます。
そして経路に位置する住民の避難先もいち早く確保されています。
こんな時に焦ってはだめです。
やはりアロハの精神です。
隣人を想う気持ちです。
どーんと待ちましょう。
怪しげなヤカラに付け込まれないためにも、どーんと待ちましょう。
そしてアロハの想いを彼の地の隣人へ届けてあげましょう。
こういう時だからこそ、そういう声はとても嬉しいものだと思います。
励まされます。癒されます。
だからこそ、大きな声で海の向こうのあの場所へ届くように、
Aloha. Our thoughts go out to our Ohana in Pahoa.
笹本正明
@海外ロングステイ相談室
http://hawaii-consultant.com/