2008年06月26日

その人のきっかけ #3の2

フィラデルフィア在住のNさんの場合:
<アメリカ人のキャリアについてと英語の覚え方編>


その頃Aさんは転職し2つ目のホテルでマネージャーとして働いていました。
サンフランで暮らし間もなく3年目になろうとした時です。
Nさんはとうとうアメリカにやって来ました。


話しは変わりますが、十数年前まで総合職とか一般職とか、ありましたよね。今で言うと正社員と派遣といった構図でしょうか。
この自由の国であるはずのアメリカ、そしてアメリカンドリームの国であるはずの場所で、実は日本のそれよりももっと高く超えられない職種の壁があるのです。

たとえばAさんは転職する際、1つ目のホテルでも、この2つ目のホテルでもマネージャーとして入社しています。
つまり初めから幹部として就職です。そして実はそれがアメリカ流なのです。
Aさんは大学でホテルマンとしての学位を取得しています。
ですから新人でありながら初めての職場から最初から幹部職として採用され、日本で言ういわゆる雑巾がけを経験することはありません。それはちょうど士官学校を卒業した若者が初めから仕官として採用されることに似ています。
つまりAさんも新人仕官も歩兵をすることは金輪際ないのです。

例えばアメリカの銀行でもそうです。
あの窓口業務をしてくれるテラーの人たち、あの人たちは今後何年そこで働いていてもそれ以上のキャリアの階段を上ることはありません。
それはテラーという職種に就いた人たちであり、彼らはマネージャーでも、ましてはバンカーという職業に就いたわけではないからです。
一言で言うと、アメリカの銀行では同じ銀行内でまったく違う職種の人が混在しているということなのです。

しかし日本ではたとえ幹部候補として期待している行員にも窓口業務をさせることもあるでしょうし、日本のホテルのベルボーイは数年後にフロントマネージャーになっていることもあるでしょう。

日本ではその会社に就職し、アメリカではその職業に就くのです。

見方を変えれば、全員が出世レースに強制参加しなくてはいけない日本に比べたら、気楽にやりたい人は気楽な道を選択できる、そう考えることも出来ます。

そしてアメリカのベルボーイだって、もしキャリアの階段を上ることを望めば、チャンスはあるのです。
つまり必要な学位を取ればいいことですし、もしそれ以上を望めば更にMBAでも取って今度は経営者としてのキャリアの道をスタートする、そうすればいいだけです。

更に日本では年齢というものが大きなネックで、なかなかやり直しができないのが現実ですが、しかしアメリカでは歳はまったく関係ありません。
第一履歴書に年齢を書かせること自体禁止されています。さらには人種差別を防ぐため写真も貼りません。あらゆる差別は許されないのです。

それからこれは余談ですが、アメリカではたとえ自己破産した人でも、会社を潰した人でも、何度でもやり直すことができるようなシステムになっています。敗者復活戦が容易なのです。
そういう意味ではやはりアメリカは自由の国で、チャンスの国なのです。
そして寛容なのです。
トータルでみれば公平で平等な社会なのです。

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サンフランでのAさんとNさんの同居生活が始まりました。
結婚したわけではないので、Nさんは当然家賃を半分負担することにします。生活費についてもそうです。Nさんはそういう性格でした。

Nさんは午前中英語学校に通います。
ムニバスの定期を買い、毎朝クレメントストリートからカリフォルニア1番のバスに乗ります。
学校にはビギニングとインターミデアとアドバンスと、クラスは3クラスあります。
Nさんは初日テストを受け最初インターミデアのクラスに振り分けられましたが、たった2日でビギニングのクラスに入り直すことになります。
つまり単語力はあり読解力はそこそこあるのですが、いざ授業となると先生の話も生徒の言葉もうまく聞き取れなかったからです。

授業は午前中だけです。
午後からは働きに行く人が多かったようです。
当時はまだ学生でも働けたのです。
働いている人たちの多くは、中国から来た生徒たちです。
経済的な理由で家族ぐるみで渡ってきたという人たちが多かったようです。
だから彼らを単純に「留学生」という言葉で言い表すことなどできません。

彼らは「新移民」なのです。
まず家族の誰か一人にF-1ビザを取らせる。その学費を一族で協力して作る。
そしてその家族にはF-2ビザがでますから、それで家族全員でアメリカに渡る。

家族の中で誰か一人、グリーンカードを取ってくれれば、そうすればしめたものです。
その家族ということで追随することが出来ます。
そのためには今は家族一丸となり協力です。
決して大袈裟ではなく、一族の今後が掛かっているのです。

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Nさんはまっすぐ家に帰り、昼食を作り一人で食べます。
貯金だけが頼りです。
これが尽きたらひとまず日本に帰る事になる。
無駄遣いは厳禁です。
(後年二人は結婚するわけですが、Aさんはもちろんですが、Nさんもこの時既にAさんと一緒になりたいと思っていたそうです。でもこの国で自分の力で何にも出来ない自分が、このままずっとAさんのお荷物になるのなら、そのことが一番気がかりで、素直に気持ちを受け入れること、伝えることを決めかねていたのです。)


ともかく英語を覚えることです。
そしてそのためには楽しく覚える方法を見つけることです。
そうNさんは決め、大好きな映画に、午後はマチネに出かけることが多かったようです。

マチネ、アメリカにはそういうシステムがあります。
平日の昼間は映画が半額なのです。

実際、映画はとてもよい英語の勉強になります。
よっぽど難解な映画でもない限り、人種のルツボのアメリカでは、映画に使われる言葉は大多数の人が理解可能な言葉を使用するように作られています。
日本では信じられにくいことですが、この移民の多い国では皆が同じ英語力レベルではありません。
そしてそういう人にでも映画館に来てもらわなければ興行成績は上位にならないのです。
だから興行成績1位になる映画ということはすなわち全米で暮らす全て人種が理解できるだろう易しい言葉で語られている映画ということでもあるのです。

ところでアーノルドシュワルツネッカーはオーストリア人です。
ですからデビュー間もない頃の彼の英語の発音は全米で暮らす全ての人種の理解を得るには不十分でした。
だから彼の初期の映画は極端にセリフを少なくしていますし、特には発音の難しい単語は彼のシナリオには元々ありません。
結果子供からお年寄りまで、外国人から留学生まで分かる言葉、単語を使った映画となったのです。


しかし誰にでも好みはありまして、Nさんはシュワルツネッカーや、同じ様に易しい英語を多用して作られているスライ(スタローン)の映画を見ることはありませんでした。

Nさんはアメリカに住んでいながら、フランス映画やイタリア映画を好んで見ていました。(まったく、どこが英語の勉強ですか?)
だから初めの頃は外国映画に付いている、英語の字幕を素早く読むことに追われて、一本の映画を見た後はもうぐったり、そういうことらしかったようです。


他のNさんのテリトリーは図書館でした。
バロックやロココ調の建築物の多いサンフランでは、こういうパブリックな建物もそういう様式が多いです。
しかも100年ものの建物です。
散歩の楽しい街です。(ただしダウンタウンの散歩にはご注意を、サンフランは坂の街でもあるのです)

吹き抜けの回り廊下に無造作に置かれた年代物のロココ調のイスに腰掛け、彼女は絵本と詩の本をたくさん読みます。元々読書は大好きです。

言葉を覚える場合、人にはタイプがあるようです。
Nさんは完全な文字型の人のようです。
だから今でも“話すこと”よりも“書いたり読んだりすること”が得意みたいです。
でもそれは英語だからということではなく、日本語の場合もそうだったような気がします。

性格ですね。

それに比べて耳で言葉を、「音」として英語を覚えていく人もいます。
後で文章を読んでみて「ああそうか、主語は実はここに隠れていたんだ」、そういう人です。
歌の歌詞はすっかり音で覚えているはずが、あとで歌詞カードを読んで「あれ、そこそういうことだったの?」というのと同じです。

文字派であっても音派であっても、経験的にいえることは、自分が楽しいと感じられる方でやったほうが、覚えがいいということです。
だから逆に「絶対こうしなければ英語を身につけることは出来ない」というように自分を追い込んでいくと、まず覚えられないものです。
何事も楽しければ、その効果は何倍にもなって現れるということです。これは何も英語に限りませんが、、、。

長くなりましたので今日はこの辺にしまして、次回はNさんとAさんの結婚とグリーンカードの申請から取得について、その頃起こったエピソードを添えて書いてみようと思います。

posted by 海外ロングステイ相談室 at 21:58 | ホノルル ☀ | Comment(1) | TrackBack(0) | ○あの人のきっかけ
この記事へのコメント
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それではまた来ます。
Posted by ホテルマン at 2008年06月27日 08:24
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