2010年08月06日

ハワイのアソシエーション(その1)

ハワイ島プナ地区の各アソシエーションから届く「アソシエーションフィー」もしくは「ロードメインテナンスフィー」なる請求書。

さてそれらをどう訳するかにより、その後どう処理されるかにより、大げさに言えば所有地の損失問題に発展していきます。

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「アソシエーション」は日本でいうところの、別荘地の管理組合ではありません。

この組織は民間でなく、公的組織です。

民間の管理会社が他人の所有地に立ち入れば、それはどんな理由があろうとも不法侵入です。

更には他人の区画の樹木を許可なく伐採したりすれば、それは器物損壊罪です。

しかも民間の管理会社には隣人間の紛争の仲裁に入る権限も根拠もありません。
それはたとえ弁護士とて同じです。

ジャングルのように伸びた樹木が隣家の平安を脅かす危険がある場合、警告をし、その上で樹木を伐採し、その費用を徴収できる組織。

仲裁に入り規約に基づき解決を図ることできる組織。

ハワイの「アソシエーション」は言うなれば小さな役所なのです。 


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さて、先月もこの「アソシエーション」のことで相談がありました。

アソシエーションを「管理費」と訳し、そしてそんな「管理組合」に加入した覚えはないし、またそんな組織の存在もはじめに聞いていなかったし、第一まだ土地のままなのに、管理費など請求されても支払う必要はないとずっと思われていて、そして今になり「競売」とか「差し押さえ」とか、インターネットの辞書で翻訳してもそのような重大そうな単語が並ぶ手紙が頻繁に届くようになっている、そういう相談でした。


実はこういう相談は非常に多いのです。

さて、まずは相談者よりお話を聞き、その後現地の僕のパートナーたちを通じて事実関係を調べてみると、この方は不動産の固定資産税に関してもここ数年間支払いが滞っていることが新たに分かってまいりました。

こうなってきますと、事態は更にややこしくなります。

つまり近い将来アソシエーションに加えて郡政府からもダブルで訴訟が起こってしまうことになるということなので。
    

しかし残念ながら、ハワイの裁判所で公開している官報のようなものをネットで閲覧する限りは、本件はもう既にアソシエーションから抵当権設定手続きへと動き出しておるようです。
もちろん
念のためアソシエーションにももう一度事実関係を再確認中です。  


これはあくまで僕なりの考えではありますが、今回の問題に至るまでにはアソシエーションなりの思案があったものと想像しています。

アソシエーションフィーというのは第一抵当にはなりません。
第一抵当はあくまで固定資産税だからです。
 

今からちょうど4年ほど前から、ハワイ郡政府では非居住外国人が所有する不動産に関して3年を目処に、悪質な滞納者に対してその国の弁護士を通じて督促を掛け、その後抵当権設定、そして競売へという手続きをとることになっています。

(特例として、固定資産税が年間一定額以下の小額不動産の場合に限り、延々オーナー個人に対しての債務としての延滞利子を加算していき、ある程度の金額になった時点で日本の裁判所を通じて通知を出すようにしています。これは経費の観点からの措置です。) 


そうして競売と決まった不動産は、指定されたハワイ郡裁判所で希望者を集めオークションにかけられます。

落札開始金額は差し押さえた個人か機関が決めますが、普通は債務が回収でき尚且つかかった経費がまかなえる程度の額に設定しているようです。

債務さえ回収できれば、彼らはそれでいいのです。
それだけが目的なのです。

仮に落札開始額を高値にしても彼らは儲けることはできません。

もしこの競売で儲けが出たとすればそれは債務者のものになるからです。

だからそんなことを、万一落札されなかったリスクを増やすようなまねは誰もしません。
  

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ちなみにハワイ州は日本と同じく債務が個人に残ってしまう州です。

サブプライムで問題になったカリフォルニアやネバダは違います。
これらは債務は残らない州です。
差し押さえられるとそれでチャラです。
0です。

しかしはハワイ州は違います。

固定資産税の滞納により郡に差し押さえられた場合、つまり今回のケースだとアソシエーションに残っている債務が清算されないまま郡により差し押さえられ競売にかかってしまった場合、アソシエーションは債務者個人を訴訟します。

つまり物件は既に無くなってもこの州では債務は継続しているのです。

加えてそれまでにかかる全ての弁護士費用や裁判費用や各種経費まで結果的にこの債務者が最終的に負担しなくてはならなくなるのです。  


正直申しまして
今回のケースは既に遅しの感があります。

何しろこのアソシエーションは前途のように「今物件を差し押さえたところでお金は郡へ全て持っていかれること」を承知していながら、それでも差し押さえの手続きに入っているのですから。
つまりこれは既に物件を全て失ったこの債務者に対して訴訟することを既にもう予定していると考えるのが自然です。
  

こうなってしまうと残念ながらこちらができることはほとんどありません。

せいぜいが「最悪」か「多少はまし」のどちらかの選択を選ぶ以外にはありません。

ただ
言えることは更にこのまま放置し続ければ間違いなく「最悪」にしか進みません。  

今できることは「負債を支払うか」それとも「売却する」かです。 


あまりに時間が経ち過ぎていて
既にアソシエーションの弁護士はこの件を降りていて、つまり交渉は既に打ち切られているのです。


今現在僕がアソシエーションからの報告の中で一番待っているのは「売却する」場合、仮に買い手が全ての債務を契約すると同時に即時負担した場合、現在裁判所で進行中の手続きを至急差し止めてくれるかどうかについてのことです。

この確約がなければ売却することさえも困難だからです。


このままで行くと、この方の場合はまず郡より固定資産税の滞納を理由に競売にかけられ、そして残った債務に関しては今度はアソシエーションからこの方個人が訴訟されるという事態になります。 

ですから非常に厳しい判断ではありますが、今これらの債務を返済するか、それとも競売にかけられる前に売却するかという方法を選択する必要があるのです。

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ちなみにこの相談者宛てに最後に頂いたアソシエーションからの最後通告にはこう記されていました。
 

年利10%は今後も引き続くことに合意した上で、今後は毎月最低50ドルつづ(一区画につき)を返済していくことに合意すれば(当然その間の新規アソシエーションフィーについては別途支払わねばなりません)今回の差し押さえはやめるという内容です。 

これはつまり今差し押さえても延滞金やその他経費はとても回収できそうもないとの判断がされたということなのでしょう。

差し押さえたところで、郡で先に競売にかけられそこで全て清算されてしまう。
だからその後アソシエーションができることはこの債務者個人を訴訟することだけです。

幸か不幸かアソシエーションはこの債務者がどのような方なのか存じていません。

しかも普通に考えれば債務者なのですからお金を持っていない方だと思っていて当然でしょう。

しかしこの方の場合は、本当は一般の意味の債務者のそれではなく、ただ知らなかったために債務者になった方なので、だから必ずしもお金がないわけではありません。

でももしそのことが知られていたら(最終的には裁判所による調査が入りますので必ず知られます)このような提案はされていなかったはずです。


仮に毎月最低の50ドルづつを支払い続けたとして、年間わずか600ドルです。

これでは今ある債務の金利分にも足りず、つまりいつまでたっても完済することはできず、しかも更なるアソシエーソンフィーの請求でますます額は多くなってしまうということになります。

また今回この用紙にサインをしてしまうことは、更に自らの首を絞めてしまうことにもつながります。
サインをした上で今後もし滞納などしてしまえばこれは確信犯となり、法廷などで極めて不利になり、これではこの先ますます立場が悪くなる一方となるからです。



個人的に思うのは、この期に及んでこれら債務を今全納することは正直お勧めしません。

それをするメリットが見当たらないのです。
 


この方がどのような目的でこの複数区画を所有されたのかはわかりません。

しかも数十年が経ち未だに土地のままです。

きっとこの先だってこのままである可能性のほうが高いでしょう。


そういう方に対して、これ以上このような高額なお金を支払うことはとうていお勧めできません。

何しろこの先、事態が一気に好転することは残念ながらもうないのですから、持ち出しのお金をこれ以上使うことはやはり控えられた方が宜しかろうと思っております。

さて、それをどのようにお伝えするか、そしてどのような方法でこの事態を収拾したら良いのか、、、、

難しい問題です。

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長くなりましたので、この続きはまた明日にでもお話したと思います。


posted by 海外ロングステイ相談室 at 10:54 | ホノルル ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | ○海外ロングステイ相談室の事件簿
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